第5章 短刀
「んー……名前もそうだけど、本丸の件も何とかしないと」
藤四郎兄弟の件は頑張るとして、この荒れた本丸をなんとかしないと。
こういうとき魔法が使えたり目に見えぬ妖精が何とかしてくれたり……さすがにないか。
手に持っていたタブレットを見ながらこのタブレットは刀達のことを知るためにあると考えるとして、スマホは連絡用……連絡って、誰からかかってくるのだろう。
アドレスを見てみると、一つだけ登録されてあった。
政府、と。
まさかの直通……
「……抵抗、あるな」
私を見つけてくれた人は政府の人だ。
一ヶ月、一緒にいてもあの人のことは謎のままだし政府のことも正直信用できるわけではない。
どこか、冷めたような……気にしちゃいけない。
「あの人が出るとは限らないものね」
そう思って、電話を掛けてみる。
誰に繋がるかわからないが……緊張してきた。
『へいへい、マイクテスマイクテス』
「う、わぁ……」
『なんすか、その嫌そうな声……俺さん、傷ついちゃいますよ』
電話に出たのは、彼だった。
私に生きる意味を与え、面倒まで見てくれた……言わば恩人の人。
嫌いではないけど……ちょっとなぁ
『今、俺とあまり話したくないとか思っただろう』
「……あの政府さん、ちょっとご相談があって」
『あれ、無視なの』
「本丸のことなんですがあまりにもひどい有り様で掃除したところで何ヵ月かかるか……」
『あぁ、そこすっごいもんなぁ……』
知ってるなら、何かしらの対処をしてくれればいいのに……。
電話の向こうでは空気が悪いや探検なんてできないやら言いたい放題ではあるが、本丸を何とかするのは政府の役目なのではないのだろうか。
こういうところが信用ならないって言ってるのに……。