第5章 短刀
石切丸さんが部屋から出たあと少ししてから襖が開くとひょこっと顔を覗かせる可愛らしい……虎がいた。
虎、だ。
小さいけど……立派な子供の虎だ。
?「と、虎くん……ぁ」
「あ……」
虎のあとから現れたのはこれまた可愛い男の子だった。
まだ、くらくらして本調子じゃないのもあって布団から離れられそうになく近づくことさえできずにいた。
?「あ、あの……」
「寝転んだままでごめんね。君は短刀さん、かな?」
?「は、はい……僕は五虎退、です……」
可愛い……あの後だからなんとも言えない感じではあるが癒される。
癒されるけど、石切丸さんのことが頭から離れてくれなくて……
五虎退「大丈夫、ですか……?」
「え……?」
五虎退「つらそう、なので……」
「ありがとう心配してくれるんだ?」
五虎退「いち兄が、悪い人ではないと思うからって……」
いち兄……?
いち……一期、一振。
え、兄弟……?
少し驚きではあるが、こんな可愛い弟がいたなんて少し羨ましいな
「私はなつみ……新しい審神者だよ。五虎退くん、できれば仲良くしたいけど……ダメかな?」
五虎退「だ、だめなんてそんな……」
身体を起こして、しゅんとしている彼を見る。
可愛いな……前任に折られていたのが日常茶飯事的な風に聞いていたからまさかとは思ったけど無事なようでよかった。
心は……大丈夫かわからないけど。