第4章 危機感 ☆
石切丸side
主の部屋から出たあと早足にその場から離れた。
誰も見ていないことを確認すると柱にもたれ掛かる。
初めての感情だった。
この身体を与えられた時、そばにいた私の主は光の宿らない目をしていた。
そして顕現された本丸の審神者は資材のために彼らを休ませずに出陣させ自分は気に入った刀と共に部屋に籠る。
反発するものがいれば折り、気に入らなければ折り……そう繰り返してきた彼女は穢れを溜め込んでいた。
好き勝手に生きていた彼女は、ある刀によってその命を奪われた。
それで正しかった、とは言えない。
それから何度か審神者と名乗る者が来たが誰一人としてここに残る者はいなかった。
あの子でないのなら、意味がない。
だが……彼女、新しい審神者はこの世のものとは思えない力と美しさを兼ね備えていた。
……なつみ。
彼女がほしくてたまらない
?「こんなところでなにをしているのかな。そんな苦しそうに……我慢、できないのかい?」
石切丸「……青江、彼女はとても危険な娘だよ。まさか私があんなことをするなんてね自分でも驚きだ」
?「ふふっ……君にしては珍しいことだけど、悪いものでもないだろう。主の特別になれば、なかを出たり入ったり……あぁ、部屋のことだよ」
石切丸「……御神刀としては失格だな」
この、彼女を求めてやまない感情を抑えることはできそうにない。
醜い欲だとしても、彼女の身体も心も、すべて私のものにしたくてたまらないんだ……。