第1章 始
そして、あれやこれやと話が進み今ではここにいる。
前任がいろいろとやらかしたようだが何をしたら刀たちと一緒に生活する家がここまで荒れてしまうのだろう。
とりあえず刀剣男士は檻から抜け出したライオン状態だと聞いている。
つまりは今、私が刀剣男士に出会ったらそれだけで真っ赤に染められるのは確実。
「短刀と薙刀と太刀と後は……なんだっけ、とにかく短刀が他の刀剣男士と比べたら平和なんだよね」
見た目が子供でも殺傷するだけの力があるとは聞いたが、男士だからショタっ子なんだよね。
子供に刀で刺されたり斬られたり……想像できないな。
政府の人には、刀のために生きてほしいと言われたが刀によっては殺されるのも刀のためになるのだろうか。
それにしても本当に汚くて血生臭い。
あの人に聞いた話では前任は殺されたらしい。
詳しいことはわかってないらしいが、内部の犯行。
つまりは刀の誰かに殺められたということはわかっているらしいが、ちゃんと調べないのが政府のやり方なのかと考えたら信用できなくなりそうだ。
とりあえず前任がやったことを一部だけ聞いたが、殺されても仕方がないと言えるようなことをその人はしていたらしい。
刀達を物としてしか扱わない。
まるで両親と一緒だ。
私を自分達の評価のために育てただけで所詮あの人達からしたら私は物なんだ。
いろんなことを考えながら歩いていると小さな音が、足音が聞こえた。
今、見つかるのは厄介なので咄嗟に近くの部屋に隠れることにした。
あぁ、怖い。
死のうとしたのに殺されるのが怖いって変なの。
でも、今は死にたくない。
あの人は言った。
私にしかできないことがあるらしいのだ。
聞いた話では私は、特別霊力が高いらしい。
時の政府はたったそれだけの理由で私をスカウトしたようだけど、刀達の話を聞いた私は利用されると知りながらも刀達を救いたいと思ってしまったのだ。
あの人は、死のうとしていた私を一ヶ月の間、支えてくれた。
なら今度は私が彼らを支えられるよう強く生きてやろうじゃないか!