第1章 及川徹の幼馴染
「...徹ちゃん?なんの話ししてたのかな?」
「... 夢乃は手が早いから気をつけろって話。」
「あのねぇ、それじゃ私が遊び人みたいじゃない。失礼しちゃうわ。私はどの人とも真剣に付き合ってたの。」
真剣に付き合ってたなら、なんで付き合い始めから破局まであんなに早いんだか。
それってつまり遊んでたってことじゃないの?
全然説得力ないんだけど。ほんとイライラする。
「...はぁ。ところでお腹すいたんだけどー。早く店入ろうよ。」
「徹ちゃんに言われなくたってわかってますー。先入っててって言ったんだから、入ってればよかったのに。さ、入ろ入ろう!」
店に入る。
「おじちゃーん!また来たよー!」
夢乃が奥の店主に手を振る。
奥からガタイのいい男の人が顔をだす。
「お! 夢乃ちゃんか!今日はそんな沢山男前引き連れてどうしたの。」
「あぁ、後輩ー。で、コレがこの前話してた幼馴染?の徹ちゃん!かっこいいでしょー。」
そう言って 夢乃は俺の腕に抱きついた。
突然のことに驚いた。
「...ちょっと!」
肘のあたりのふにゅっとした感触が伝わり思わず払いのけてしまった。
「ハイハイ。わかったから席付きなー。座敷でいいかい?」
「おっけー!」
そう言って席に着いた。
「さ、好きなの頼んでー!作ってくおじちゃんは怖そうだけど、ご飯はすっごく美味しいんだよ。」
適当に注文し、食べ始めると話も弾んだ。
夢乃の紹介、金田一と国見ちゃんの紹介、お互いの学校で今日あった出来事とか、部活の話他にもいろいろ。
「てかさ、この時間予定あったんじゃなかったわけ?よかったの?」
「あー.....。本当は彼氏とデートの約束してたんだけど....」
夜にデートって...ヤラシイなぁ。
なんか、すごいイライラする。
しかも、デートの後に俺と会うつもりだったとかムカつく。
「さっき別れてきたから予定なくなっちゃったの。」