第4章 ゴールデンウィークと実家とワタシ
母は既に駅前に待っていた。
相変わらずの明るい笑顔で
ついついこちらも頬が緩む。
「おかえりヒカリ! ちゃんと休めた?」
「ただいま! うん、隣のおじさんのいびきも聞こえない位ぐっすり寝れたよ♪ あ、これお土産!」
「もぉ、毎回良いのにー」
そう言いつつも
袋の中身をチェックしている。
「いつもの奴だよ」
「これ、美味しいからついつい食べすぎちゃうのよねー」
嬉しそうに袋を後部座席にしまう母。
私もキャリーバッグをトランクに積み込み
助手席に座る。
「もう先週からお父さんがヒカリはいつ帰ってくるんだ? って、何回も聞いてくるのよ! とうとうボケちゃったかと思ったくらいよ?」
「お父さんらしいじゃん♪ 今日は仕事?」
運転はほとんど父がしているので
母がハンドルを握る姿は
数回しか見たことない。
「ホントは一緒に迎えくるつもりだったみたいなんだけど仕事が終わらなくて、今日まで仕事なんだって」
「そっか……」
走り出した車内では
母の身の回りの出来事をひたすら聞かされた。
父が脱いだ靴下を丸めたまま洗濯機に入れたとか
ご飯粒をいつも残すだとか
半分以上が父へのちょっとした不満だった。
それでも2人の愛の深さを
感じられるから不思議だ。