第11章 合同練習とオレ
どれ位時間が経ったのだろう。
唇を離すと
ヒカリは再び涙を流していた。
「いや……だったか?」
彼女は涙を拭きながら
首を横に振る。
俺は壁に背を預け
胡座をかき、足をポンポンと叩いた。
「こっち、来るか?」
ヒカリは何も答えず
ちょこんと俺の間に腰を下ろした。
体育座りの形のヒカリを後ろから抱き締め
彼女の肩に額を預ける。
あぁ、クソ。
自分が不甲斐ない。
ヒカリの肩は時折震えている。
そんなに怖い思いをさせて
俺はその場に居てやれなくて
フォローさえもまともにしてやれない。
「ごめんな……」
ボソッと
心の声が漏れてしまった。
それがスイッチかのように
ヒカリは再び泣き出した。
「ふぇっ……うぅ……んっ……ひくっ……」
俺はどうしてやる事も出来ず
ただ彼女を抱きしめていた。