第11章 合同練習とオレ
暫くそうしていると
ヒカリの嗚咽もおさまってきた。
「大丈夫か? 少しは落ち着いた?」
コクリと頷くヒカリ。
いつもと違うってことも
何かあったってこともわかる。
わかるけど、
ヒカリがなにも言おうとしないってことは
聞いちゃいけない事なのかもしれない。
「俺が出来ること……なんかあるか…………?」
暫く返事は来なかった。
それでも根気よく待つと
泣き腫らした瞳で見上げながら
力ない答えが返ってきた。
「キス…………して…………?」
今までで一番儚くて
今までで一番美しかった。
俺は何も答えず
ただ、キスをした。
触れるだけのキス。
啄むようなキス。
お互いを求め合うキス。
誰かが来ても構わないと思った。
今はただ、
ヒカリを思い
彼女の求めるキスをしてあげたかった。