第11章 合同練習とオレ
その後、鉄朗は何も言わずに
私を抱き締めてくれた。
私はその優しさに甘え
自分の過ちを悔いた。
本当の事を話せば
鉄朗は傷付いてしまう。
私はみんなを傷付けてばかり。
もう、私は…………
誰とも関わってはいけない──────?
ずっとこうしていたかった。
鉄朗の腕の中で
安心していたかった。
でも、このままじゃダメだから。
もう、誰も傷付けたくない。
踊り場の窓から
月明かりが私たちを照らしてくれる。
「鉄朗……、お別れ……しよっか……」
最後まで
ちゃんと言えたかな?
涙で歪む視界。
鉄朗の表情はよく見えない。
見えなくて、良かった。
いつものかっこいい鉄朗が大好きだから。
最後の記憶も
一番かっこいい鉄朗がいいから。