第10章 秘密とボク
ヒカリさんは本当に騙されやすい。
僕のついた嘘を
本当に信じている。
ごめんなさい。
でも、
もう、我慢出来ません。
何年待ったと思ってるんですか?
僕もう、子どもじゃないです。
逆側の階段に辿り着き
後は昇るだけ。
そう、
昇るだけ────。
「ヒカリさん……」
階段の踊り場で足を止め
後ろを振り返る。
恐怖に怯え
瞳に涙を溜めるヒカリさんが居る。
僕は手を離し
彼女に近づく。
彼女はもちろん
1歩ずつ下がって行くが
壁まで追いやると
「どうしたの?」
と不安な声を上げる。