第10章 秘密とボク
「どこ、行きたいんですか?」
「音駒のとこ……場所はわかるんだけど、前にオバケ見てから怖くて……蛍ちゃんもなんかやることあるのに、ゴメンね……?」
僕の後ろを小さくなって歩くヒカリさん。
小動物みたいで、ホント可愛い。
「別に、部屋に戻ってもうるさいだけだし、1人でゆっくりしようと思ってたとこなんで」
「ごめんね……」
弱々しくそう言う彼女。
謝らなきゃいけないのはこっちの方なのに。
「オバケがもし出ても大丈夫なように、手……繋ぎますか……?」
流石にバレるか。
そう思ったけど、ヒカリさんは
僕の差し出した手を
そっと握った。
小さな手。
僕よりひと回りもふた回りも小さい。
守ってあげたくなる手。
でも、
彼女が求めているのは
僕ではない──────。