第8章 夏の暑さとワタシ
「鉄朗っ!!! 出た! 無理! もうヤダ!!!」
体育館を施錠して
部室へ戻ろうと歩き出した所
ヒカリが泣きながら抱きついてきた。
「んぁっ? どした? オバケでもでたか?」
胸の弾力を楽しみつつも
冗談混じりに言ってみるが
ヒカリはマジな顔して
「やっぱり出るの?」
とか言ってる。
「いやいや、出ねぇだろ? 三年間で一回も見た事ねぇぞ?」
「だって! 更衣室行こうと思ったら変な光がこっち来たんだもん!!! ホントに死ぬかと思った……」
瞳に溜まった滴が頬を伝う。
あーあ、可愛い顔が台無しじゃねぇか。
まぁ、この顔もある意味イイけど……。
「俺がついてってやるから、これなら良いだろ?」
「………………うん……」
あぁ、もう今すぐ抱きしめたい。
いや、むしろ抱きたい。
黒い気持ちを抑え込み
俺達は更衣室へ向かった。
後ろを歩くヒカリは
シャツの裾をちょこんと掴んで
背中に隠れながらついてくる。
もう俺は病気だな。
マジで、ヤバイ────。