第6章 遠い思い出とボク
いつだか
学校の帰り道に
彼女の母親に声を掛けられた。
「あら、蛍ちゃん! 大きくなったわねぇ♪」
「どうも……」
「まだバレー続けてるの?」
「まぁ、はい……」
どうでもいい会話。
「ヒカリもたまに蛍ちゃんの事話してるのよー♪ お正月とか帰ってきたら、また遊んであげてね?」
「はい……時間があれば……」
ごめんと言って去っていった彼女を
未練たらしく思っていた僕には
そんな気を使った一言さえ
心にちょっとした衝撃を与える。
首の後ろを擦りながら、
「では」
と言ってその場を後にした。