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弾けて壊れた私の話

第7章 地獄行きの切符なら


 莉香が唐突に立ち上がり、横に座っていた史佳を思い切り突き飛ばしたからだ。
 元々ストレスを抱え、機嫌も最高に悪く、加えて性格的に自分の非を認める事が出来ない莉香に、神経を逆撫でする言葉はNGだった。

「何さ、偉そうに! 忍足先輩にフラれた分際であたしに偉そうなこと言わないでよ! ムカつくムカつく! あんた何様!?」

 理性を失った莉香は、とうとう化けの皮を剥がされ、ずっと胸に溜め込んでいた罵詈雑言を床に倒れた史佳に叩き付ける。

「フラれたくせに! あたしより格下のくせに! あたしに意見しないでよこの不細工!!!」

 そこまで言って、息を弾ませ、そしてやっと、彼女は自分のしてしまった取り返しのつかない事態に気が付いた。
 慌てて史佳をよく見てみると、史佳は床に叩きつけられた際頭でも打ったのか、ピクリとも動かない。

 サーッといつかのように血の気が引いて行くのを感じた。
 無事を確認するために手を伸ばしたが、それを遮ったのは先程まで自分をちやほやしていた男の一人である、滝萩之助だった。


「……なるほどね、それが君の本音か」


 冷たい声に、びくり、と莉香の体は震える。
 弁解出来る雰囲気ではなかった。

「やるねー、すっかり騙されたよ。努力してるのに反映されない可哀想な子って思ってたんだけど、なんだ、努力する気がなかっただけか」

 彼は椅子から立ち上がると史佳に近寄り、手早く状態を確認すると日吉を手招きした。
 逆に、立ち上がろうとしていた跡部を手で制す。

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