• テキストサイズ

最後の時【進撃の巨人】

第1章 最後の時


調査兵団での生活は、訓練兵団のそれよれも過酷だった。

いや、実際の訓練自体はこちらの方が楽だろう。
しかし今までとはまた違う生活、上下関係。
なにより、同じ訓練兵団出身の同期は殆ど居ない。

もう誰かに頼ることは出来ない。
甘えを捨て、一兵士として自分の足で立たなければ……



そう思っていた時。私は貴方に出会ったんだ。



「そんなに頑張らなくていい」



突然かけられた声。

「え?」と不思議そうに彼の顔を覗き込めば、優しく揺れる瞳と視線が交わった。


その瞬間、何故か肩の荷が下りた。


今振り返れば、あの時期は環境の変化に戸惑っていただけなのだと分かる。でも、あの時の私は確かに孤独で。


その一言に、心底救われたんだ。


それから兵団に馴染むのに、さほど時間は掛からなかった。だって貴方が皆を紹介してくれたから。

いつの間にか、私はここでも大切な人が沢山出来て。
死と隣り合わせの調査兵団が『居心地が良い』と感じるようになったんだ。


貴方はいつもそばにいてくれた。
食事の時間は殆ど一緒だったし。
訓練でミスがあれば、何がいけなかったのか一緒に考えてくれた。
調整日が重なれば、街へ出かけてお茶もした。


貴方と一緒に居る時間はホッとして、素の自分で何でも話せた。
/ 13ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp