第7章 黒闇家は鬼の血を引く
そのまま八千代の願いを聞いてあげた方がいいのかもしれない
だが…
「八千代さん。私はこれからずっと貴方と一緒にいます。だから何も隠さないで欲しいです。私は貴方の全てを受け止めますので」
「…鈴音」
鬼の血の影響で姿が変わるとは一体どうなるのか
鈴音には検討もつかなかった
もしかしたら怖い姿になるかもしれない
それでも、八千代に言った言葉に嘘偽りは無かった
「あぁ…我慢、できねぇな」
八千代が呟く
と同時にその瞳が赤くなっていた
「八千代さん…」
「鈴音」
再び唇が重なる
だが鈴音は目を見開いて八千代を見ていた
八千代の髪は白く変色し、腰まで伸びる
おでこのやや上にはぐぐっと突起が現れ、それが角だと理解するのに時間はかからなかった
角は五センチ程の長さだが、白くて少し怖い
「鈴音。見すぎだ」
「あ、すみません」
唇を離した八千代が照れくさそうに呟く
それでも鈴音は目が離せなかった
「八千代さん…すごい綺麗です」
「…んなわけあるか」
八千代は目を反らす
やはり、あまり見られたくないのだろうか