第7章 黒闇家は鬼の血を引く
「じゃ、辺り一体に結界を張るか」
ドキッと鈴音の心臓が跳ねる
もう何度も交わっているというのに、始まりはいつも恥ずかしい
そして交わっている間の自分の乱れっぷりを思い出してまた恥ずかしくなる
八千代が手をかざすと一瞬で結界が発生する
滝の音が少し遠くなった気がした
「八千代さん…」
顎を持ち上げられ見上げると、すぐに唇が重なる
それは優しく濃厚で、めまいを起こしそうだ
「んっ…んんっ…」
舌が絡まり息が荒くなる
理性はすぐにどこかへ行っていた
鈴音は必死に八千代を求めると舌を絡ませる
だが、八千代はゆっくりと唇を離すと鈴音を見下ろした
「…八千代さん?」
「鈴音。ここでする時は後ろを向いてこっちを見ないでくれるか」
「…えっ?何でですか!?」
意味がわからず鈴音は目を見開く
八千代の顔を見ながら絶頂に達したい
八千代が乱れる姿も見たい
それなのにずっと後ろを向いているなんて嫌だった
「…ここでは鬼の血が騒ぐんだ。特に結界の強化の時はな」
「血が騒ぐと、どうなるんですか?」
「俺の見た目が少し…変わるな」
八千代は目を反らす
見た目が変わる…ということは、その姿を見られたくないということだろう