第7章 黒闇家は鬼の血を引く
鈴音に有無を言わさず、祠行きは決定した
八千代に引かれ山道を進む
軽々と先を行く八千代に対し、鈴音の足取りはおぼつかない
白霧家の護る祠に向かうには、土を固められ整備された道がある
しかし、今この山にあるのは獣道と呼ぶにふさわしい道だけだ
「や、八千代さん…ちょっと歩くのが速いです」
「あぁ。悪い悪い。いつものクセで」
通い慣れた山道だからか、それとも鬼の血がそうさせているのかはわからないが八千代にとって獣道は大したことないようだ
祠の周りももしかしたら雑草まみれなのだろうか
木が生い茂って祠がよく見えなくなっていたりして
鈴音は不安を抱えたが
「ほら、あれだ」
姿を現した祠を見てその不安は吹き飛んでいた
そこは別世界のように拓けており、小さな白い花が咲き乱れていた
祠からわずかに離れた場所には細い滝があり、ばしゃばしゃと音がする
その滝の水を流す川は底が透き通って見える程、澄み渡っていた
「す、すごい綺麗ですね」
「あぁ。ここだけはいつもこうなんだ」
「ということは、どなたの手も加えられていないのですか?」
「そうだ。ここに近づけるのは本家の人間だけだしな」
鈴音は関心してしまう
これはきっと祠の力なのかもしれない
祠自体は白霧家が護っているものと同じだった