第7章 黒闇家は鬼の血を引く
「話は聞いた。お前ら、婚姻を結ぶそうだな」
「あぁ。文を送った通りだ」
「そうか…」
銀次は目をそらす
反対されるのが怖くて鈴音は再び頭を下げる
「ふ、ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願い致します」
「馬鹿野郎。頭を上げろ。お前らが決めたなら反対はしねぇ。好きにしな」
「ありがとう…ございます」
鈴音は少しぽかん、としてしまう
自分の村でもそうだったが、話が簡単に進んでいく
もしかしたら事前に話をしてくれていたからかもしれないが…
「顔見せはもういい。とっとと祠に行け。八千代の匂いがきつくてかなわん」
銀次は眉間にシワを寄せ、鈴音たちを追い払うように手を振る
八千代さんの匂い?
鈴音は首を傾げるが、なんとなく追及せずにいた
「ありがとな、じじぃ。早速結界の強化に行ってくる」
「あぁ。せいぜい励めよな」
鈴音はもう一度頭を下げると八千代の後に続いて部屋を後にする
緊張から解き放たれると鈴音は八千代を見上げた
「黒闇家がお護りする祠はどちらにあるのでしょうか?」
「あぁ。この屋敷の裏山だ。行くか?」
問われて鈴音は頬を赤らめる
祠に行き、結界を強化するということは、八千代と交わるということだ