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交わりの祠【R18】

第7章 黒闇家は鬼の血を引く




ーーーー……



「もぅ。八千代さんってば」



鈴音はぷくーっと頬を膨らませる


だが八千代は楽しそうに目を細めた



「止めるか、って俺は提案したからな」


「なっ…私が悪いんですか」



長い廊下


歩きながら八千代を見上げる


すぐに黒闇家先代に挨拶に行く予定だったのだが、少し遅くなってしまった


着物はきちんと崩れを直したが、どこかおかしいところが無いか心配だ



やがて、八千代はとある部屋の前で立ち止まる



「じじぃ。俺だ、入るぞ」



先代に何て言葉使いを!?と焦ったが、鈴音はドキドキしていた


八千代のご家族にご挨拶


つい数日前までこんなことが起こると思っていなかった為、なんだか不思議な感覚だ



「入れ」



やや遅れて部屋の中から渋い声が響く



「し、失礼します」



声が裏返りそうになり、鈴音は背筋を伸ばして誤魔化す


襖が開けられ、その部屋の奥に一人の老人を確認する



あぐらをかき、その手には煙管を持っていた


そのため部屋は少し煙い



促され先代の前に座ると鈴音は頭を下げる



「初めまして。白霧鈴音と申します」


「あぁ。菊の孫娘か。俺は銀次。孫の八千代が世話になっているようだな」


「そんな。八千代さんには私の方が頼りっぱなしで…」



白髪混じりの銀次は、鋭い目をして鈴音を見る


決して睨んでいるわけではない


その瞳は菊の面影を探しているようだった



あぁ、この方が…



鈴音はすぐに理解した


この方は菊が結ばれなかった人なのだと


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