第1章 それは責務
どんなすごいことをするのかと不安になったが、相手に触れるだけ
鈴音の左胸には生まれつき、直径五センチ程の白霧家の家紋が刻まれていた
それは刺青のようだが、鈴音が成長しても大きさは変わらなかった
肌を直接触れられるのはあまり気分がよくない
しかし、それだけで力が増すのであれば実に簡単な方法と言っていい
少し我慢するだけだ
鈴音は自分に言い聞かせていると黒闇家からの返事が届く
了承の文字と場所を示す内容だった
「明日…領境付近にある神社」
鈴音は少しドキドキしていた
北側へ足を踏み入れるのは始めてだ
一生無いと思っていた事が急に現実となり、なかなか現実味が無かった
しかし、祠に亀裂が入っていることには焦りを感じている
黒闇家が早急に対応してくれたことに感謝しなくてはいけない
鈴音は意を決すると深い眠りについたのだった