第1章 それは責務
それから三日後
事は直ぐに起こったのだった
「…祠に亀裂が!?」
朝から祠を訪れた鈴音は驚きを隠せなかった
同行した巫女三人も同じように驚きの声を上げる
昨日まではいつも通り変わらぬ姿であった祠
それが今日、側面に小さな亀裂が入っているのを発見した
「祠に亀裂なんて一度も…」
誰かがそう言った
もう千年も変わらぬ姿であったというのに、ここへ来ての亀裂
鈴音は菊に言われた事を思いだしていた
黄泉の力が増大したらーー
ドクン、と心臓が悲鳴を上げる
しかしすぐに首を横に振った
「結界の強化を行います。念のため、お三方のお力をお貸しください」
「もちろんです」
今日は四人がかりで強化を行った
終わる頃には全員がくたくただったが下山すると直ぐに菊に報告をする
菊は察していたようで、予感が的中したことに落胆していた
「二十四時間、見張りをつけましょう」
菊の提案によって選ばれた巫女が交代で祠の見張りを行う事になった
それは皆にも知れ渡り、島に不穏な空気が流れる
それは、鈴音に与えられた試練の始まりに過ぎなかった