第6章 ★薫の秘め事(~P83)
「どうしたの?まだ掃除は終わってないはずじゃ…」
薫は恭子が苦手だ
その原因は…
「そんなことより!黒闇家の二人、どっちもかっこ良くない!?」
恭子はきゃぁっ!と嬉しそうに声を上げる
また男か…
薫は心の中で悪態をつく
恭子は良い男に目がない
白霧家の若い男たちは皆彼女に食べられたのではないか、という噂が広がっている
しかし当の本人は気にしていないようだった
今度は黒闇家の男に狙いを定めたらしい
薫は昔付き合っていた男を恭子に寝取られたことがある
同じ経験をした女は他にもたくさんいた
その為恭子は嫌われていたし、薫も好きではなかった
「でね、薫はどっちが好みか知りたくて!」
「…はい?」
「だからぁ~、黒闇家の二人のうち、薫はどっちが好みなの!?」
恭子は目をギラギラさせる
…なるほど
薫は納得していた
薫がどちらかの名前を出せば恭子は同じ人を狙うのだろう
そして手に入れてから薫を見下すつもりだ
「悪いけど、私はどちらも興味が無いから」
「え、えぇ!?そんなぁ!!」
「仕事続けるから、他を当たってくれる?」
薫は雑巾を絞ると再び掃除を始めた
そんな薫を見て、恭子はつまらなそうに帰っていく