第5章 官能的な仕事
欲情したことが恥ずかしくなる
「なんだ…私に会いに来てくれたんじゃないんですね」
「拗ねるな。これはお前とじゃなきゃ出来ない仕事だからな」
「えっ…それって…」
鈴音は二日前に聞いた話を思い出す
「信じられねぇな。祠の前で交わりながら結界を強化させるなんて」
「…ですよね」
「惚れてる同士じゃなきゃ、つらいな」
「なら私は幸せ者です」
へへっと笑うと八千代も少しはにかむ
「そういえば、先ほど手紙を頂きました。こんなにすぐ早く会えるとは思わなかったので驚きましたが」
「あぁ。白霧家の領内に入る手形を手にいれたからな。すぐに馬を飛ばしてきた」
「そうだったんですね」
ちゅっ、と唇が触れる
八千代の唇はその後も頬、おでこ、首筋を触れた
「や、八千代さん?」
「聞いたか、鈴音。この後お披露目があるらしい」
「お披露目…ですか?」
何も話は聞いていない
何のだろう?と首を傾げると八千代の瞳が真剣な眼差しに変わる
「鈴音と会うのは二回目だ。だが、確信している。今後、お前以上の女には出会えないと」
「…八千代さ」
「鈴音…」
しん、と間が訪れる
八千代の言葉の続きを待ってその瞳を見上げると
八千代は鈴音を幸せにする言葉を放った
「俺の嫁になってほしい」