第1章 それは責務
村へ戻り、湯を浴びてから宴へと顔を出す
既にそれは始まっており、多くの人が酒を浴びるように飲んでいた
…なるほど、皆が宴を希望したのはこの為ね
鈴音は納得した
当の本人を差し置いて始まっている宴には、白霧の本家から分家、更にその分家まで多くの人が集まっていた
「おぉ!鈴音様!」
誰かが声を上げる
そこで初めて鈴音が現れた事を悟ったらしい人々が歓喜の声を上げた
「鈴音様!お誕生日、おめでとうございます!!」
「おめでとうございます!!」
わぁっ!とその場が拍手につつまれる
鈴音はにこりと微笑んでから皆を見渡す
そして静かになったことを確認してから口を開いた
「白霧家が祠の護りを任されてから約千年。我々は黄泉の死者を現へ入れる事無く、責を果たして参りました。それもひとえに歴代の巫女の力と、皆様の協力があってこそ」
うんうん、と何人もの人が頷く
「私は桜楼巫女の名を頂いてからまだ三ヶ月程の未熟者です。よって、皆様の支えが必要となります。どうか、これからも末永く皆様のお力添えを賜りたくお願いとご挨拶とさせていただきます」
そう言って頭を下げるとその場が割れんばかりの拍手が起こった