第5章 官能的な仕事
八千代から文が届いたのは二日後だった
すぐ会いに行くー
そんな短い文字だけで、愛を囁くような内容ではない
それでも嬉しかった
八千代さんに会える
そう確信しただけでこんなにも胸が高鳴るとは、鈴音は興奮していた
それにしても、すぐっていつだろう?
鈴音が首を傾げると、部屋の外から声がした
「鈴音様、先代がお呼びです。至急、椿の離れへ来るようにとのことです」
「椿の離れ?わかりました」
初めて呼ばれる場所だ
敷地内に離れはいくつかあるが、椿の離れだけは近づく事が許されていなかった
入れるのは菊だけ
そのため、掃除も菊がやっていた
一体そんな場所に何が?
鈴音が椿の離れへ着くと、その入り口には菊が立っていた
「おばあ様、どうなさったんですか?」
「鈴音。よく来たわね。ここの離れを貴女にあげようと思って」
「えっ?」
「ここの鍵は魔力よ。貴女の魔力のみ受付るようにしてあるから、今後はここの掃除もしっかりやってちょうだいね」
それだけ言うと菊は立ち去ってしまう
一体何があったのか?と考えてもわからない
とりあえず離れの入り口の鍵へ手をかざしてみる
するとわずかな魔力を放出しただけでカチリと音を立てて開いたのだ