第4章 交わりの祠
「今はいいのよ」
鈴音の不安をよそに菊はそんな事を言った
今は…いい?
訳がわからず菊を見つめる
すると菊はクスっと笑った
「その様子だと、相手の方との相性は良かったってことかしら」
「えっ…えぇっ!?」
鈴音は驚いて声を上げる
菊は相性と言った
それはどういう意味なのか、今の鈴音には一つの意味しか浮かばない
「あ、あの…」
「私には隠さなくていいわ。全て、知っているから」
「…おばあ様?」
「そうね、私以外には話してはいけないわ。そして、あなたは知るべきね。巫女の役割を」
そう言いながら菊は昔を思い出す様に遠い目をした
桜楼巫女
黄の國島の南側を任される白霧家から選出される
そして、祠の結界を強化し続け、現を護る役目がある
それは周知の事実で知らない者はいない
だから誰もが鈴音を称え、崇めるのだ
そんな中、当事者だけしか知らない事実がある
それはどの歴史書にも載っておらず、口頭で伝承されるものだった
歴代の祠の護り手たちは、ほとんどが難題にぶつかる事がある
鈴音の場合は祠に亀裂
菊の時代は魔力の減少だった
その時に解決する方法は一つ
白霧家と黒闇家が交わる事ーー