第3章 印の力
「ひやっ、冷たい」
夜の水はとても冷たい
鈴音がぶるっと震えると八千代はすぐ横の岩に鈴音を下ろす
足だけが池に浸かっている状態だ
「待ってな」
八千代は池の真ん中まで行くと用意してあったらしい桶を使って頭から水をかぶる
交わっていたときに見た八千代は汗をかき、必死に鈴音を求めていた
今は水を浴び、月明かりを受けて輝いている
「…素敵」
鈴音は思わず口にしていた
あまりにも八千代がかっこよくて、つい我を忘れてしまう
その呟きはばっちり届いていたようで、振り返った八千代がニヤリと笑った
「見とれてたな」
「なっ…」
そんなことない
そう言おうとして言葉に詰まる
事実を言い当てられて恥ずかしい
鈴音は小さく頷くのが精一杯だった
「へぇ?やけに素直だな」
ばしゃばしゃと音をさせて八千代が近寄ってくる
精錬された肉体美に、八千代の見せる笑顔に心臓が高鳴った
「こ、来ないで下さい」
鈴音は慌てて胸を隠す
だが、すぐに腕を八千代に掴まれ、隠した胸はぷるんと揺れて八千代の視界に捉えられてしまった
「だから何で隠すんだよ」
「は…恥ずかしいです」
「今さらだっつーの。また乱してやろうか?」
耳元で囁かれ、鈴音は胸が高鳴った