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交わりの祠【R18】

第14章 龍の巫女





舞台の袖に到着すれば、舞はまだなのかと観客席から声があがる


時間はまもなく、といったところだが、皆が待ちきれないといった様子だ



「すごいですね。皆さん、鈴音をご覧になろうと必死に席を取ってましたよ」



なんて笑う桜


鈴音は微笑み返すだけで精一杯だった


そして、しばらくすると響く音


小太鼓、笛、鈴


そのどれもが美しい音色を奏でる


もう聞きなれたそれに身が引き締まる思いだ



「お時間です」



桜の小さな囁きに鈴音は一歩踏み出す


舞台に出れば観客の視線が一気に集まる



小さく一礼し顔を上げると、八千代と視線がぶつかった


八千代は最前列の真ん中に席を取って鈴音に笑顔を見せる


それだけで落ち着いた


しっかりと音色を聴き、鈴音は舞を始める



いつもは村の為に踊っていた


だが、今では大切な人を思う気持ちが溢れている


豊穣を願う気持ちもあるが、八千代の為に役に立ちたい


そう思えば稽古だって苦ではなかった



くるりと回れば長い袖が弧を描く

指先の鈴は美しい音を奏で、鈴音の色気を誘うようだった


長い黒髪は夕陽を浴びて滑らかに輝き、いつもと違う化粧はまるで鈴音を別人のように仕上げていた


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