第14章 龍の巫女
翌日、桜から向けられる視線がやけに痛い
鈴音は目を泳がせていた
何も言ってこないが昨夜の事は察しているのだろう
桜は小さくため息を吐くと口を開いた
「では、今日は基本的な足の運びを学んでいただきます」
「お願いします」
部屋の隅には帳がおり、小太鼓を叩いて音頭をとってくれる
それに合わせて足を滑らせ、くるりと回る
見習い巫女だった時、何度も舞の練習はした
だから舞うのは嫌いではない
普段は神の為に舞うが、今回は豊作を願って龍に見せるためのもの
龍に見惚れさせるために色気が必須という条件付だ
「いいですね。一小節目は荒れた土地を見て嘆く巫女を表現します。余裕が出てきたら動きに合わせて流し目を…」
桜の動きを手本にしながら鈴音は基本を学ぶ
覚えれば覚える程楽しくなってきていた
桜は誉め上手で、鈴音もその気になり
気がつけば日が暮れていた
その夜
夕食後に八千代へ近況を報告すれば、未だに不満そうな顔をしつつもちゃんと話を聞いてくれた
しかし…
「ちょっと全身筋肉痛みたいで。ガチガチです」
何気なく言った一言が八千代に火を付けてしまう
「へぇ。ならほぐしてやるよ」
「……え?」
気がつけば鈴音に八千代が覆い被さっていた