第14章 龍の巫女
「……申し訳ありません。気を付けます」
桜の横に並んだ帳が頭を下げる
それに続いて桜も頭を下げていた
こうなれば八千代はもうこの件で二人を責めることはできない
次にどのような手で桜を黙らせようか考えていると
「そうだな。帳、お前の役を俺に代われ」
「えっ!?」
突然の事に帳は驚いて顔を上げる
「な、何をおっしゃいますか!自分は龍の役。最後には巫女に命を奪われると言われている役です。そんな役を八千代様に演じてもらうわけにはいきません」
仮にも演技とはいえ、当主が巫女によって鎮められるなどあってはならない、と帳は焦る
帳の反対に八千代は眉間にシワを寄せる
「お前もジジイたちと同じ事を言うようになったな。つまらん」
そう言って八千代は部屋から出ていってしまった
はぁ…とため息を吐く二人
いつも八千代と一緒にいるようだが、意見するのはやはり緊張するらしい
「では、気を取り直して鈴音様。座ったままで結構です。まずは手の動きを覚えましょう」
桜の指示に従い扇子を広げる
端からは何本もの長い紐が伸び、更に紐にはいくつもの勾玉が飾られていた
よって、重い
「さぁ、鈴音様。舞姫は体力勝負です」