第14章 龍の巫女
ーーー……
「もぅ!八千代様ったら!」
とある日、珍しく八千代は桜に怒鳴られていた
八千代は気にしていない様子だが、桜は頬を膨らませる
「さ、桜ちゃん…」
慌てて止めに入ろうとしたが、鈴音は思わず耳を塞いでしまう
「豊穣祭が終わるまでの間、鈴音様を抱くのはほどほどにと何度もお願いしたではないですか!」
「黙れ。俺の妻を何度抱こうがお前らには関係ない」
「関係あります。鈴音様がこの様子では一向に稽古が進みません!」
や、やめてぇ!!
鈴音は顔を真っ赤にし、心の中で叫ぶ
数日前から行われている舞の稽古
先生は去年演じた桜だ
だが、鈴音は毎晩八千代に抱かれ続け、日中は体力が少ない
「何故俺が我慢しなきゃならない。お前らだって毎晩楽しんでいるんだろ」
「なっ…!?」
突然自分の話題になり、桜は顔を真っ赤にする
部屋の隅で様子を見守っていた帳も固まっていた
「桜、お前の喘ぎ声がよく響くと苦情が入っている。女を気持ちよく啼かせる事は男の義務だが、恋人のいない男たちのことも考えてやってくれ」
「な、なんで…そんな話を…」
桜の語尾が弱々しくなる
恥ずかしくて今にも逃げ出したい衝動に耐えているようだ