第14章 龍の巫女
「…確かに、八千代さんが怒るのも無理ないわね」
わざわざ恥ずかしい格好をしてくれた桜に頷く
基本的に心を許した男性以外に肌を晒すことははしたないと言われている
その為、八千代は鈴音が見せ物になることを拒んだのだ
「去年はよく帳くんが許してくれたね」
「いえ。最後まで反対でした。ですが、帳くんはずっと私には無理だってバカにするので、ついやるって言ってしまったんです」
「そ、そう…」
帳くんが泣いている姿が想像できる、と鈴音は思った
帳は桜が好きで反対していた
そして今年は八千代が反対している
女の少ない村にもなかなか問題があるようだ
「さすがに鈴音様にこの格好をさせるのは八千代様が許すとは思えません」
「うん、私もそう思う」
他の男を誘惑するつもりはないが、単純に恥ずかしい
今さらながら、八千代が断ってくれてよかったと思う
だが、皆の役に立ちたいという思いは変わらなかった
八千代は相変わらず反対を続けたし、老人たちも譲らなかった
それから紆余曲折あったが
数日後の会議で、衣装を変更して鈴音が舞姫を、そして帳が龍の役を行う事が決定した