第14章 龍の巫女
「黙れと言っている!」
八千代が怒鳴ればまたしてもその場が凍りつく
そんな中、横では桜がクスクスと笑っていた
「桜ちゃん?」
「あっ、失礼しました。八千代様は本当に独占欲が強い方だなぁと思いまして」
「…はぁ」
意味がわからなかったが、隣で八千代は怒鳴り続ける
「鈴音を皆の見せ物にするつもりは無い!」
「ですが、鈴音様の美しさでしたら龍も見とれて直ぐに鎮まりましょうぞ」
「龍であっても鈴音に見とれることは許さん!」
なっ…!?
鈴音は顔を真っ赤にする
桜の言っていた意味を少し理解した
「龍だけではない。他の男どもに鈴音を晒し、鈴音に欲情する者が現れたらどうするつもりだ!」
「や、八千代さん!?」
慌てて鈴音が止めに入るが八千代は聞く耳持たなかった
何を言ってるのだ
別に鈴音は忍んで生活しているわけではない
村を歩けば普通に他の人にも会う
祝言後、村中を練り歩いた時も多くの人に会っている
鈴音から言わせれば晒し者になるのは今さら?といった感じだ
「そ、それはですなぁ…」
八千代の意見に老人たちは焦ったように目を泳がせる
ひ、否定してください!
と心の中で叫んだが老人たちには届かなかった