第14章 龍の巫女
八千代に睨まれ、その場にいた全員が冷や汗をかいていた
なんだか気の毒なくらいに…
それでも老人たちは譲らなかった
「今年は巫女である鈴音様がいらっしゃる。しかも黒闇家当主の妻。これ程適任な方が他にいるでしょうか?」
「黙れ!」
八千代の一喝でその場が凍りつく
まだ残暑が厳しい時期だが、何故か肌寒い気がした
ここに鈴音の決定権は無い
当主の妻である以上、八千代たちが決めたことに異議を唱えることはできない
しかし、こうも目の前で意見が割れていると、八千代対その他大勢という構成でも大勢の方が気の毒に見えるから不思議だ
我慢できずに鈴音は口を挟んでいた
「八千代さん?私、舞ならできますが。私では役不足でしょうか?」
恐る恐る思いを口にすると、今度は鈴音が八千代に睨まれる
どうやら相当怒っているらしい
周りからはおぉ!と喜びの声が上がった
「役不足なはずがない!だが、問題はそこではない」
「えっ?では一体…」
鈴音が首を傾げると誰かが声を大にして叫ぶ
「さすが鈴音様!ありがとうございます!!」
まだ了承した訳ではなかったが、決定事項にされそうだった