第14章 龍の巫女
「ふざけるな!!」
机を叩きつけ、八千代が怒りを露にする
隣にいた鈴音は思わず驚いて体を震わせた
怒りの矛先は老人たちだ
ここは会議が行われる広間
普段、鈴音が訪れることはない
しかし今日は珍しく鈴音も会議に出席するようにとお達しがあったのだ
そこで出た意見に八千代は怒り、声を荒げていた
「鈴音を豊穣祭の舞姫にするだと!?いつ俺がそんなことを許した!?」
話の流れについていけず、鈴音はちょうどお茶を配りにきた桜に事情を伺う
夏の終わりに行う豊穣祭
それは豊作を祈って行われる祭りである
はるか昔、秋に龍がやってきては海を荒らして田畑を水浸しにしたことがあり
巫女が舞を披露して龍を鎮めたことが起源だと言われている
そのため秋になる前に豊穣祭を執り行い、巫女が舞を披露して龍を鎮めるのだという
「黒闇家には若い巫女はおりません。なので、昨年は私が勤めさせていただきました」
ちょっと照れたように桜は笑う
つまり、本来巫女である鈴音に今年の舞姫の役を頼みたいと老人たちは言っているのだ
話だけ聞いてれば普通の祭り
何故、八千代がそこまで怒るのか鈴音にはわからなかった