第13章 熱中症注意
神殿の管理を柏木家にまかせてからもう何十年も経っているらしく、本家の感心が薄れているという
かくいう八千代は神殿の話をまともに聞いたことがなかった
改めて調べて見ると、日本国を造った三神が祀られているという
しかも神が直々に神殿を建てたため、現代では二度と手に入らない石で造られているのだとか
「その特殊な石の影響で季節問わず環境が安定する、か」
古い書物を読んだ八千代はニヤリと笑う
「帳、いるか。直ぐに神殿へ向かう。荷造りを」
「はっ」
傍らにいた帳に準備を言いつけ、八千代は鈴音の元へ向かう
部屋では日の当たらない場所でぐったりしたままの鈴音
「鈴音。これから出かける」
「え…いってらっしゃいませ」
「違う。お前も行くんだ」
私もですか…?と鈴音は怪訝な顔をしたが、八千代に抱きかかえられれば逃げようがない
そのまま屋敷を出ると、外には荷造りをした帳と桜がいた
馬は三頭用意されており、どうやら四人で神殿に向かうようだ
鈴音は八千代に抱えられたまま馬に乗ると、そのまま神殿へ向かう
「その神殿とは、遠いのでしょうか?」
「いや。馬なら大した距離はない」
炎天下の元、鈴音は意識を飛ばしかけたが、森へ入り中を進めばその言葉通り間もなくして神殿が姿を現す