第13章 熱中症注意
ーーー……
「一回だけ、ですか?」
その夜、鈴音は同じ布団で横になる八千代を見つめた
体調はもう良くなっており、気持ち悪さは吹き飛んでいた
「あぁ。まだしばらく暑い日が続くだろうからな。我慢する。お前を抱くのは祠の前で一回だけだ」
「ということは、夏の間は祠に行った時のみ、ということでしょうか?」
「そうだ」
きっぱり言われ、鈴音は目に見えて落ち込む
毎日あんなにも激しく抱かれているのに、祠の結界を強化をするとき限定になってしまうとは
「私が…不甲斐ないからですね」
「違う。この時期は仕方ない」
「ですか…淋しいです」
甘えるような声を出す鈴音
八千代の決心が簡単に揺らぎそうだった
「八千代さん…」
抱きつけば、優しく背中に手を回される
「私は我慢できるかわかりません」
「…鈴音」
「私をこんな風にしたのは八千代さんですよ?」
ふふっと笑った鈴音
「…まいったな」
八千代は頭を抱えた
もともと八千代自身、我慢できる自信は無かったのだ
そんな中、鈴音がこの様子じゃ一回の計画は簡単に崩れてしまうだろう