第13章 熱中症注意
鈴音が目を覚ましたのはそれから三十分程経ってからだった
「八千代さん…」
「気づいたか。気分はどうだ?」
「少し…気持ち悪いです」
鈴音は八千代の手を握ると頬に寄せる
「もう少し休むか?それとも帰るか?」
「では…もう少しこのまま…」
そう言って鈴音はゆっくり目を閉じる
鈴音は夏がとても苦手だが、夏を苦手とする者は多い
黒闇家は鬼の血を引いているが、夏バテを起こす者は毎年現れる
中でも八千代は特別で四季を楽しめる方だった
夏バテも凍傷も経験したことがない
それゆえ誰かが体調を崩していても気づかないことがある
今回も鈴音の調子が悪いことに気づけずにいた
「悪かったな、鈴音」
小さく呟けば鈴音は微笑む
聞こえているのか夢でも見ているのかは謎だが、先程より楽になった様子の鈴音に八千代は少し安堵した
「…抱くのは、少し控えるか」
結果の強化の為とはいえ、八千代は外でも屋敷でも必要以上に鈴音を抱いた
単純に鈴音を抱きたいという性欲に従っての事だ
そして鈴音は必ず応えてくれた
もう少し鈴音の体を労るべきなのかもしれない