第12章 ★桜の秘め事(~P182)
「…そう。桜ちゃんは帳くんとちゃんと話し合いたいのね。でも、話す機会がないと」
話を聞いた鈴音は困ったようにうーんと唸る
桜はただ頷くだけだった
「とりあえずお茶を用意するわ。そしたら一緒に考えましょ。ねっ?」
そう言って鈴音が立ち上がると、桜は慌ててそれを制した
「お茶なら私がお持ちします!」
「いいのよ。他の方に頼むから。桜ちゃん、その泣き顔じゃ戻りずらいでしょ」
「あっ…」
それは否定できなかった
今の桜の顔は酷いだろう
これ以上有無を言わさず鈴音が屋敷の中へ戻っていく
その背中を見つめ、桜はため息をついた
鈴音に甘えただけでなく、迷惑までかけている
「…私の、バカ」
またしても襲うのは後悔
最近は悔やんでばかりだ
桜は机に伏せ、鈴音の帰りを待つ
しばらくすると足音がして桜は顔を上げる
鈴音が戻ってきたと思ったのだ
しかし現れたのは
「帳くん…」
会いたいと願っていた帳本人だった
「あれ、桜。八千代様と鈴音様にここにお茶を運ぶよう言われたんだが」
帳の手には盆
キョロキョロと辺りを見渡し二人の姿を探していた