第12章 ★桜の秘め事(~P182)
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桜が鈴音に連れてこられたのは八千代と鈴音しか入ることが許されていない庭だった
そこはとても広く、中心には四阿(アズマヤ)があり、ゆっくり休むことができる
その中で用意された長椅子に腰掛け机を挟んで鈴音と向かい合っていた
「ごめんね、仕事があったのに。でも、気になって」
そう言って鈴音は眉を下げる
慌てて首を横に振った
鈴音は食事の途中だったのだ
「申し訳ありません。気を使わせてしまって」
「いいのよ。もし話したくなければ話さなくていいから。ゆっくり休むだけでもいいわ」
鈴音はそう言ってくれたが、その優しさに胸が熱くなる
気がつけば涙をぼろぼろと溢していた
「鈴音様…私…私どうしたらいいかわからなくて…」
嗚咽まじりに話し出せば、鈴音は黙って聞いてくれた
それに甘えてつい全てを話していた