第12章 ★桜の秘め事(~P182)
幼なじみの帳
その距離はあまりにも近すぎてあまり意識したことはなかった
当たり前のように側にいて、いつも桜を助けてくれる
桜はその夜、布団の中でずっと帳の事を考えていた
「帳くんが私を好き…」
今まで気づけなかった帳の思い
それを知った途端、胸が熱くなった
この感情は<嬉しい>だ
帳に恋人になりたいと言われ、素直に喜んでいる自分がいる
「あれ…ってことは、私も…帳くんのこと?」
今まで考えてこなかっただけ、結論付けるのは難しかった
帳は誰よりも頼りになる存在で
産まれた日が同じだったため、物心つくまえから一緒にいたし
一緒にいるのも普通だった
幼なじみが恋人に…
桜はぎゅーっと枕を抱き締める
恋人なんてむず痒い
恥ずかしくてどうしたらいいかわからなかった
悶々としていると、ふと思い出す
『男が女を抱くというのはーー』
何度も聞かされた紗良の説明
生々しい話だったため、桜の想像を掻き立てることになっていた
「もし恋人になったら…帳くんと!?」
ぼんっ!と頭が爆発したような衝撃を受ける
む、無理…恥ずかしくて無理!!
桜はまたしても眠れない夜を過ごしていた