第12章 ★桜の秘め事(~P182)
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「おいしかったわ。ご馳走さま」
夕食後、鈴音の一言に桜は笑顔をこぼす
鈴音は毎回おいしかったと言ってくれるが、その度に嬉しくなってしまう
下げた食器を洗いながら、桜は鼻歌まじりに手を動かしていた
するとそこへ、女性の使用人が現れる
「桜。今夜は月に一度の女子会よ。時間までにお風呂等は済ませておくのよ」
「紅葉さん。えっ、私も参加していいのですか!?」
声をかけられた桜は驚きの声をあげる
先輩、紅葉たちが行っている女子会
本家に住み込みで働く女だけで開催される
桜はまだ子供だから、という理由で参加許可が下りていなかったのだ
「そっ。喋ってお酒飲んでそのまま寝ちゃうだろうから、寝間着で来るのよ~」
そう言って紅葉は手を振りながら姿を消す
またしても桜はにやついてしまった
数少ない女たちの女子会
桜もそれに参加するのが待ち遠しかったのだ
その日は急いで仕事を切り上げると、飲み物を持って紅葉の部屋を訪れる