第12章 ★桜の秘め事(~P182)
桜は本家に仕えるようになってから揉め事は何度も目にしていた
そして毎回嫌な思いをするのだった
たが、それも終わりを迎えるーー
当主となった八千代が結婚相手を決めたからだ
お相手は南の領地の本家当主、鈴音
その話を聞いたときは誰もが驚いたが、決定事項として告げられた為、ひっくり返すことはできない
そんな状況を理解した途端、周りの者たちはどうやって鈴音を蹴落とすか
あるいは、どうやって鈴音に取り入るかで揉め始めていた
桜はうんざりしていた
素直に結婚を喜んでいるのは桜の他にもたくさんいた
しかし、小さな火種が隅でくすぶっていたのも事実だ
それを察した八千代は不用意に鈴音に人が近づくことを禁止した
その決定は桜にとってはショックだった
本家にお仕えする桜としては鈴音の側を任されるつもりだったからだ
しかし、それは直ぐに勘違いだったと知る
突然八千代に呼び出され淡々と告げられた
「鈴音はお前に任せる。お付きとして面倒を見、何かあれば直ぐに報告するように」
かしこまりました、と桜も淡々と返事をしたが、内心跳び跳ねたい気分だった
重要なことを任された!と満たされた気持ちでいっぱいになる