第10章 病に勝つのは
その後は南の祠へ向かい、翌朝も南の祠の結界を強化した後、すぐに北の祠へと向かう
一人で二つの祠を毎日回るのはかなりの重労働だった
八千代と二人なら数日に一回の強化で問題無いが、一人では毎日強化するのが基本だからだ
そんな重労働の日々が五日続いた頃ーー
「八千代さんのお見舞いを…?」
医師からやっと見舞いの許可が下りる
連れていかれたのは北にある小部屋が並んだ場所だった
どうやら一人ひとり別々に看病されているらしい
「八千代様は感染した者の中で、一番回復が早いですが、まだ菌が抜けただけで高熱が続いています」
そんな医師の説明と共に部屋に入れば、そこには布団に寝かされた八千代の姿があった
久しぶりに見るその表情はとても苦しそうで息が荒い
熱と戦っているのがすぐに見てとれた
「八千代様の場合、後は熱を発散することだけです。汗をかいておりますので、よければお体を拭いて上げて下さい。もう医師では無く、愛する者の看病が必要でしょうから」
医師はそう言うと頭を下げて部屋を後にする
すぐに八千代に近づけはその額に汗が浮かんでいた