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交わりの祠【R18】

第10章 病に勝つのは





一人になった鈴音は泣くもんかと必死に堪える


八千代が心配で心配でたまらない


だが、ここで自分がわめき叫ぶのは違う気がした




「…いつも、どうしてたんだっけ」



独り言がこぼれる


だいたい側に八千代がいて、それぞれ別の事をしていても同じ空気を吸っていた


それなのに今はこんなにも胸が押し潰されそうだった




八千代が倒れた事で村全体はざわつき始める


皆が数々の不安を口にした



…今の状況で私に出来ること…それは祠結界の強化だけ



鈴音は桜を呼び出すと直ぐに出かける準備をお願いする


自分も一緒に行くと言ってくれた桜の申し出を断り、鈴音は馬に跨がると直ぐに祠へと向かった



北の祠は相変わらず白い花に囲まれて美しい


それなのに、隣に八千代がいないだけで霞んで見えるから不思議だ



いつもはここで八千代と交わり、結界を強化する


二人でなら何倍もの力を出せるが、今は鈴音一人


亀裂が塞がれた今、二人が出会う前と同じ状況である


となれば、鈴音一人でも問題は無いのだが…




「ダメよ、鈴音。ちゃんとやる気出さなきゃ!八千代さんが元気になった時、がっかりされたくないもの」



鈴音は気合いを入れて結界強化を行った



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