第10章 病に勝つのは
そして、八千代の状況を聞いたのは翌朝だった
「八千代さんが…体調を崩した?」
驚いて目を見開くと桜も顔を青くしながら頭を下げた
「はい。なんでも本土へ偵察に行っていた者が流行り病を持ち帰ってきてしまったようで、偵察者と八千代様の他にも報告を受けていた者三名が倒れているとのことです」
「そんな…」
思わず言葉を失う
鬼の血を引く黒闇家では体調を崩す事が少ないと聞いていた
それなのに八千代が流行り病にかかるなんて想像もしていなかったのだ
「八千代さんは今どこにいるのですか?」
「治療の為、北の間だと聞いておりますが。医師意外は近づく事を禁止しているようです。なのでお会いするのは難しいかと」
いてもたってもいられない気持ちだが、直ぐに止められてしまう
それならばと治療にあたっている医師を呼び出し、状況を確認した
何でも八千代たちはこの島にはいない菌に感染しており、本土でも数ヶ月前から流行しているとのことだ
「鬼の血を引く我々ですら苦しい状況です。なので貴女が感染すれば命に関わるかもしれません。どうか、お見舞いはご自重下さい」
そう言われてしまえば、ますます会いに行けなくなる