第10章 病に勝つのは
日が暮れ、夜が訪れる
八千代が戻ってくる気配は無く、久しぶりにひとりぼっちの夕御飯を取ることになった
いつもは美味しいご飯も何だか味気ない
食が進まず心配する桜に声をかけられ、鈴音は何とか全てを食べきる
その後も一人で本を読んでいると、集中できない
顔を上げれば空には月がポツンと浮かんでいた
「もう寝よう…」
相変わらず八千代が戻ってくる気配はない
何だか忙しそうだったため、待っていても遅くなる可能性がある
布団に潜り込むと目を閉じる
やけに布団がひんやりしている気がした
季節はもうすぐ初夏を迎えるというのに、何だか寂しくて落ち込んでしまう
八千代はいつも忙しそうだが、鈴音のために時間をたくさん作ってくれていた
…今まで甘えすぎてたのかな
寂しくてもわがままは言えない
本土の調査も大事だし、人が多く死ぬことで受ける影響はかなり大きいのだから