第2章 力の増大
近づいた男は背が高く、より美しさを増していた
「とりあえず座れ」
促され、目の前に正座する
男もあぐらをかいて座った
「あんた、名前は?いつ代替わりしたんだ?」
「白霧鈴音です。三ヶ月前からお務めをさせていただいてます」
「三ヶ月前、か」
なるほどね、と男は顎に手をやる
「あの、貴方の事も伺っていいですか?」
「あぁ。俺は黒闇八千代。当主は一年前から務めている」
一年とはいえ先輩だ
鈴音はなかなか緊張が解けない
「それでだ、祠の状況は文に書いた通りだ。そっちも同じ状況なんだってな」
「は、はい。今回は力を増すための儀式にご協力いただき、ありがとうございます」
鈴音は深々と頭を下げる
「なに。条件は一緒だ。早速始めるぞ」
「へっ?……きゃぁぁ!」
鈴音は思わず両手で顔を隠していた
八千代がいきなり着物をはだけるからだ
「は?何騒いでんだよ。お前だって印が左胸にあるんだろ」
「そ、そうですけど。男の人の肌を見るのは初めてで…その…」
語尾が弱くなる
言ってて恥ずかしかった
「そーかよ。とっとと終わらせようぜ。ほら、早く口付けろ」
「………へ?」
八千代の台詞に思考が停止する