第8章 止まらない刺激
「桜はお前のお付きにした。ここに滞在する間、何かあれば俺か桜に言うんだ」
「あ、ありがとうございます」
可愛らしい女の子だった
鈴音は年下との関わりが少ない
元々村に年下が少ないこともあったが、鈴音の立場上、限られた人にしか会えないからだ
「お待たせ致しました」
そう言って膳を運んできた桜
八千代へは帳と呼ばれた男の子が準備をしていた
「何か、苦手なものはございますか?」
「ないです。ありがとう」
鈴音が笑顔を見せると桜はすぐに顔を反らす
嫌われてるのかと思ったが、その頬は少し赤い
…照れてるのかな?
少しお喋りがしたかったが、避けられるのは怖い
そそくさと部屋を出ていく桜を何も言わずに見送った
「帳、食事の後は風呂にする。準備を。桜にも伝えておけ」
「かしこまりました」
八千代に頭を下げる帳
一瞬鈴音を見たが、逃げるように部屋を出て行ってしまう
「あっ…」
声をかけるタイミングを逃した鈴音はまたしてもその背中を見送っていた
「あいつらが気になるか?」
「はい。私の村には年下の女の子も男の子も少なく、男の子に至っては話したことのない子たちばかりで」
「そういうものか」